こずえは好奇心を覚えて、部活の後輩に訊いてみた。
「いつの間にか、カイボークイーンなんて二つ名で一目置かれてたんすよ。普段はちょっと顔の可愛い、目立たない子なんすけどねぇ」
クイーンの隣のクラスだという後輩は、首をかしげながら知っていることを話してくれた。
何でも、入学してひと月ほどで男子たちを数人従えるようになり、『活動開始』したそうだ。
「襲われるのは女子だけ?」
「噂に聞くのは女子が多いけど、男子もやられてますよ」
「そうなんだ」
「はい。男子の場合はクイーンの手で射精させられるんすよ」
「射精……」
「ぴゅーって精液が飛ぶんです。あたし、一回だけ見ました」
「……」
こずえは射精の瞬間を見たことはないので、想像をたくましくするしかなかった。率直に言って後輩が羨ましい。
「で、女子はクリ……トリス攻めなんだよね」
「はい。女子はあいつらに襲われるとみんなメスにされるって噂で……かなりの数の女子がやられたはずなんすけどね。だれも恥ずかしくて表沙汰にしないんですよ。そのうち上級生や女教師まで襲われ始めて、手がつけられなくなったってのが実態らしいすよ」
「メスねぇ……」
言い得て妙だ。こずえが片唇だけで笑う。
聖南も静香も、最後にはメス堕ちさせられていた。瞼の裏にお汁を垂れ流した膣穴や、乳汁が滲むほど勃った乳首が浮かぶ。あの理性を飛ばした痴態は、メスと呼ぶにふさわしいだろう。
それにしても、女教師が犠牲者に含まれているというのは初耳である。
「みんな知ってますよ。去年採用の国語教師とか、教育実習生とか。もっと襲われてるかもです」
「そうなんだ」
「はい。あいつら、襲った女を手駒にして、次の女を調達してるって噂ですから。ネズミ算式に被害者が増えていくんすよ」
「手駒?」
「知り合いとか気に入らない女とか、何でもいいからあいつらが待ち構えている場所に誘い出す役目っすね。うまいこと罠にかかればその場でヒン剥いて、メスに仕立て上げるんす」
後輩は、「襲われた経験のある女は容赦ないっすからね」と、分かったような顔で笑うのだった。結構エッチな子のようだ。
「ふぅん……」
まあ、女は感情の生き物だから、自分が襲われたら他の女も同じ目に、と考えるだろう。それは別に不思議ではない。
待てよ、もしかして聖南と静香って? あたしを嵌めるつもりであんな情報を?
こずえの脳裏を疑念がよぎる。
でも二人はクイーン一味に襲われていた。現場もしっかりと目撃している。本気で抵抗する身体を押さえつけられ、無理矢理イカされていたことは疑いようのない事実だ。
「……う~ん、分かんないな」
「先輩、何かあったんすか?」
「いや、何でもない。ありがと」
こずえは墓穴を掘らないように用心して、話を打ち切った。
結局、クイーンについて大したことは分からないままだったが、知ったところでどうなるものでもない。
それからしばらくの間、こずえは遅くなることがなかったので、玄関横の『例の場所』に近付くこともなかった。
もちろん気にはなっていたが、まだ生徒が残っている早い時間に行ってみたところで、無駄足だろうと考えたのである。
そういう現場を見たければ、滅多に人が通らない旧体育倉庫や校舎裏に向かった方が、よほど遭遇の可能性が高いはずだ。ただし、見つかれば自分の身も危ういので、好奇心とのトレードオフになる。
カイボーをやる連中は、クイーン一味だけではないのだ。被害者の多さと発生頻度で、クイーン一味が突出しているまでの話である。
あとは、風紀委員長が襲われてから、口うるさい服装チェックがなくなった。スカートが短すぎるだの、ブラウスのボタンを二つ以上外すなだの、毎朝のように校門に立った風紀委員たちにイチャモンをつけられていた身としては、歓迎すべき変化だった。
聖南たちから聞く限り、風紀委員長は完璧にイカされて理性を飛ばしていたようなので、当分は恥ずかしくて表だって活動なんか出来ないだろう。こずえはそう期待していた。
「こずえ聞いた? 三組の吉川純菜が襲われたらしいよ」
更に半月ほど経って、聖南と静香が喜々として寄ってきた。
「吉川純菜?」
聞いたことのあるようなないような。こずえが記憶をたぐる。
「元レディースのヤバい子」
「ああ、あの子……」
言われてみるとちょっと雰囲気の違う女子がいた気がした。今は普通の女生徒とあまり変わらないが、一、二年の頃はずいぶん『尖って』いたはずだ。
「やっぱりクイーンに?」
「そ。場所は玄関横と違うけどね。襲われちゃったことは間違いないよ」
「へぇ、そういう子でも狙われるんだ」
「もう怖いものなしなんでしょ」
「どんな風にされちゃったの?」
こずえが身を乗り出す。その手の話は大好物である。
「三十分以上クリトリスを弄られて、イキまくり悶絶」
聖南がこずえの耳元に口を寄せて声を潜めた。
「目茶苦茶悔しがって抵抗したけど、耐え切れなかったみたい」
静香が嬉しそうな顔で付け加える。
「うわー……」と目を輝かせるこずえ。
「クイーンと言えばクリトリスだもんね」
「乳汁噴いてメス逝きしたってさ。惨めだよね」
「へぇ、元レディースでもそうなっちゃうんだ」
「そりゃそうでしょ。クリなんて鍛えようがないもん」
「でも取り巻きの男子たちがビビって、輪姦しは免れたみたいだよ」
「犯っちゃえばいいのに。そこまでイカされたなら、犯されたって分かんないよ」
聖南たちによると、吉川純菜は通学路脇の藪に引きずり込まれたため、悲鳴を聞きつけた通行人にまで襲われ姿を見られたことは間違いないとのことだった。
「それにしても、三十分もクリトリス弄りに耐えるなんてすごくない? あたしだったら五分も持たないよ、きっと」
こずえが言うと、静香が「元レディースだから、気合いと根性なんでしょ」と笑った。
「ぷぷぷ、恥かき時間が長くなるだけじゃん。延々とクリトリス弄られてもがき続けるくらいなら、さっさと悶絶した方が楽なのに」
「だよね。頑張って悲鳴を上げれば上げるほど、野次馬を呼び寄せちゃうんだもん」
「あの子、ムッチリ体型でオッパイも大きいし、乳揺れまくりだったんじゃない?」
「くくくっ、乳首ピーンで乳プリンかぁ。女の子だねぇ」
「乳踊りしながら乳汁撒いたんだよ、きっと」
「ぷぷぷっ」
笑いを堪えきれないエッチ娘たちだった。
こずえも容易に、野次馬に囲まれた中でクリトリスを弄られてもがく吉川純菜の惨状を想像出来た。さぞかしいい見物だったことだろう。
気合いと根性も役に立つとは限らないようだ。
「だけど『元』とは言え、一年坊主にそこまで舐められたらあの子も黙ってないかもね」
聖南が含み笑いを漏らす。
「やっぱ、仕返しとかあるのかな」
「あるでしょ。多分だけど」
「うん。レディースって輪姦し輪姦されの世界だって聞くし」
静香が分かったような顔で頷く。
吉川純菜か。あたしも注意して観察しておこうかな。面白い現場を見ることが出来たらラッキーだし。
こずえはその後の展開に期待することにした。
「通学路で藪ったらここしかないよね」
帰り道、こずえは吉川純菜が襲われたと思われる現場に寄ってみた。
別に刑事を気取るつもりはない。ただの好奇心である。
「あ~、これかな?」
すぐに道路から5メートルほど分け入ったあたりの草が丸く倒れている場所を発見した。人ひとりを数人が取り囲んだほどの大きさだ。ここが暴行現場とみて間違いないだろう。
「悶絶するまでクリトリス弄りされたってことは……」
こずえは注意深く失禁の痕跡を探してみたが、判然としなかった。
吉川純菜が失禁していないはずがない。しかし彼女が出した様々な液体は、地面に染みこんでしまったようだ。
改めて草の倒れ方を観察してみる。
「こっちが頭で、道路側に脚かな。ぷぷっ、マンコ見られちゃうじゃん」
次にこずえは道路まで戻って、現場がどのように見えるか検証してみた。
藪の中なので、通行人から丸見えとは言えないようだ。しかし女が襲われているのだから、白い肌は垣間見えていたはずである。吉川純菜が悲鳴を上げていれば、見逃すこともなかっただろう。
「と言うことは……」
野次馬は襲われている女の女性器を見たいと思うはず。ある程度の距離を取りつつ、近付けるだけ近付くと思う。
「あった。ここだ……」
こずえは襲われ現場から2メートルばかり離れた場所に、複数の足跡と踏みしめられた草の痕跡を発見した。丁度大きめの灌木があって、覗いていても目立たない絶好の位置取りだ。
実際にその場所に立って、現場に目を向けてみる。
「丸見えだね、こりゃ」
これで吉川純菜がクリトリスを弄られてもがく姿を、野次馬数人に『ガッツリ』と鑑賞されていたことが明らかになった。更にこずえは残された足跡に自分の靴を重ね、野次馬の少なくとも三名は女子中高生だったことまで突き止めた。
つまり吉川純菜暴行現場は、その三名がスマホで撮影していた可能性が極めて高い。
「よく刑事ドラマで『現場に足を運べ』って言ってるのは本当なんだね。賢くなった気がするよ……」
こうして実際に現場に足を踏み入れなければ、聖南たちから聞いた以上のことは分からなかったのだ。
こずえは思った以上の収穫に、大いに満足して駅に向かった。
時刻は午後4時過ぎ。
「近道を通っちゃおうかな」
まだ用心する時間ではないだろうと、裏道に入る。
そちらは人通りが少なく、女子は注意すべしと言われているのだが、表通りを行くよりも五分も短縮出来るのだ。
春先に、裏道で二年の女生徒が不良に輪姦されたという噂が流れた事があった。教師も知っていたから事実なのだろう。でもそんなものは運次第だとこずえは思う。表通りにだって危ない人間はいるし、その女生徒はたまたま裏道でそういう目に遭った。それだけのことだ。
こずえの場合は、暗くなる前ならという条件付きで、裏道を通ることが多かった。
スマホを出して、メッセージの整理をしつつブラブラ歩く。
去年だったか、歩きスマホをしていて蹴躓いて転んでしまい、思い切りスカートの中を晒して恥をかいたこともあるが、それしきでへこたれるこずえではなかった。駅の階段を上る際も、スカートの後ろを押さえたりしない。こんな短いスカートでいちいち下着を見られることを気にしていたら、女子高生なんかやっていられないのである。
そして繁華街の外れに差しかかった時。
こずえは背後から迫る複数の足音に気付いた。
最初は気にとめなかったが、何やら切羽詰まったような感じで様子がおかしい。
振り返ろうとした瞬間、誰かにしがみつかれた。
「きゃぁぁぁっ!」
突然のことに悲鳴が漏れる。
見ると身体にしがみついているのは同じ高校の制服を着た女生徒で、すぐ後ろから数名のガラの悪い者たちが追いすがっていた。
しかも顔を確認すると、その女生徒は件のカイボークイーンではないか。
「え、何? 何? ひゃぁっ!」
訳も分からぬまま、クイーンの勢いに負けて転倒してしまう。
ヤバい。襲われる!? こずえは捲れ上がったスカートの裾を押さえ、開いてしまった股を閉じた。
こんな路上で捕まったら終わり。女の子をやめますかってレベルのひどい有様を晒すことは確実だ。
公衆の面前でクリトリスを掘られてイキまくる女子高生。そんなの嫌だ。野次馬は楽しいだろうけれど、襲われる側はたまったものではない。
絶望感で目の前が暗くなりかけたこずえの視界に、ワゴン車が現れて止まるのが見えた。
追いかけてきた連中がクイーンを引き剥がそうとするが、クイーンは必死にしがみついて離れない。
「ひぃぃっ!」
しかし幸運にも、追っ手は無様にスカートの中を晒したこずえには興味がないらしかった。
無理矢理クイーンの身体を抱え上げて、ワゴン車に引きずり込んでしまう。
「きゃぁぁっ! 誰かぁぁぁっ!」
こずえはクイーンが脚をバタつかせながらワゴン車に吸い込まれるのを見た。もちろんクイーンもまた、スカートが捲れて下着が丸見えだ。
ワゴン車は内部にビニールシートを貼った『レイプ仕様車』だった。襲われた女はすぐに失禁するし、色々な液体を出すので、掃除しやすいように改造してあるのだ。
追っ手もみんな、関わり合いになりたくないような面相の者ばかりだった。
「……」
あれ、狙われたのは自分じゃなかった?
一体どうなっているのか。
こずえは唖然と、車内でヒン剥きにかけられるクイーンの姿を見つめた。
「……あ、そういう事か」
ようやく、クイーンが自分を身代わりに仕立て上げるつもりだったことに気付く。と言うことは、これって超ラッキー?
こずえは俄然、元気を取り戻した。
追っ手はワゴン車の後部座席にクイーンの身体を放り込むと、それっとばかりにスカートを捲り上げ、下着を毟りにかかった。
どうしてクイーンがハイエースされているのだろう。
訳が分からないけれど、クイーンが目の前で襲われているのは事実だ。こずえは急いで手にしたスマホを向けた。
「イヤァァァァァッ!」
猛烈に抵抗するクイーンだったが、寄ってたかって押さえつけられてしまったのでは、為すすべがなかった。ものの数秒で、股間に女の子のシンボルである陰裂が見え隠れし始める。
(やったぁ)
こずえは捲れたスカートを直すのも忘れて、クイーンがマンコを曝け出される瞬間をスマホに収めた。
(あ、あれって吉川純菜じゃん!)
そっか、例の仕返しか。襲撃側の中に吉川純菜がいることに気付いたこずえは、これがクイーンに対する復讐劇だと理解出来た。道理で見向きもされなかったわけだ。
クイーンが自分を身代わりにしようとしたことは腹立たしいが、結果オーライである。
「あひぃぃぃっ! 止めてぇぇぇっ! あああああっ!」
ヒン剥き側は四人もいる。
さしものカイボークイーンも数の暴力の前には、はしたなくも悲鳴を張り上げる一人の女子高生に過ぎなかった。自分が襲われる事態なんか、考えたこともなかったのだろう。
「まだツルッパゲじゃんか」
吉川純菜の嘲笑う声が響く。
追っ手はクイーンの下着を引きずり下ろすと、速攻で股をこじ開けにかかったのだ。
「イヤァァァァァッ!」
甲高い悲鳴を上げ、太腿に筋を浮かべて力を込めるクイーンだったが、やはり抗う術はなかった。生木を裂くように股が開いてしまい、くっきりと切れ込んだ陰裂が露わになる。そのまま太腿の付け根が引き攣るほどの大股開きにされると、クリトリスのサヤが弾けて小陰唇の一部が覗いた。
クイーンが引きずり込まれてからここまでで十秒ほど。
追っ手の動きはそれほど素早く、手際が良かった。
(なるほど、確かに……)
クイーンのマンコは、一本の恥毛も生えていなかった。下から上までツルンツルンの肌色である。うぶ毛くらい生えているのか、それすらまだなのかは、判別出来なかった。
陰裂は長い方だろう。しっかりとワレメの上端に窪みの残った、後期スジマンだ。こずえは目の前でそれを見た。
マンコを晒されたクイーンは激しく身をよじって暴れていたが、両腕両脚を押さえられてしまい、悲鳴を張り上げる他に出来ることはなさそうだ。
制服の上から見た印象よりも尻周りの肉付きが良く、女らしい体型をしている。太腿もムッチリと太目だ。
「イヤッ! イヤッ! イヤァァァァァッ!」
クイーンの脚の間に移動した吉川純菜がマンコに指を伸ばし、クリトリスを掘り起こしにかかったところで、ワゴン車が動き始めた。内側からドアも閉じられてしまう。
「そんなぁ……」
これからなのに。あの子がどんなクリトリスをしているのか、見てやりたいのに。こずえが不満げに口を尖らせた。
車内から漏れるクイーンの絶叫が遠ざかっていく。
それでもワゴン車が信号で止まってくれたので、僅かな間だが暴行現場の続きを後部の窓越しに覗うことは出来た。
「もう、最後まで見せてよ~」
クイーンはマンコを出されると同時に、ブラジャーも外されたようだ。腕は吉川純菜の他に六本もあるのだ。わけなく裸に毟ることが出来るだろう。
こずえの半分もない小振りな乳房が見えたり隠れたり。乳首はさすがにまだ勃っていないようだ。
片方の足首に引っかかった下着が、旗のようにひらひら揺れる。
これで、カイボークイーンと異名を取るエロ娘も、乳房とマンコを晒された、襲われ女の定番ポーズに成り果てたことになる。
「撮れるだけ撮ってやるもんね」
窓の向こうで、左右に大きく拡がった太腿が間断なくジタバタもがき続けており、時々ビクンと突っ張った。それは間違いなく、女がクリトリスを弄られた時の反応だった。
そしてこずえは、クイーンの脚の間に放物線が噴き上がるのを見た。「キィィ」と身も世もない悲鳴が聞こえる。
「ぷぷぷ、もう失禁? クリトリス剥かれちゃったかな」
クリトリスを探り当てられただけで、女があそこまで激しく失禁することはないだろう。きっと吉川純菜にクリトリス包皮を裏返されたのだ。
「あの子も自分が襲われた時にはあんな悲鳴上げちゃうんだ~」
クイーンがもがくので、失禁の放物線が左右に乱れる。小水が噴き出す勢いは、静香以上であるようだ。
こずえはスマホを構えたまま、息が切れるまでワゴン車を追いかけて走った。
しかし車の速度に追いつけるはずもなく。
クイーンの失禁が続いていたことは確かだが、追跡を諦めざるを得なかった。
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