「うわぁぁぁっ、で、出るっ!」
「ふふふ、さっさと諦めて射精させられなさい」
放課後の保健室。
美子先生の手で猛烈にオチンチンをしごかれながら、必死で耐える俺。
女子体操部の練習を見物していただけなのに、この仕打ちはあんまりじゃないか?
確かにうちの中学のレオタードは、胸元が広めに開いていてポロリしやすい。
期待していたのは否定しないけど、今日はラッキーシーンに巡り会えなかった。それなのにどうしてこんな目に。
「出るっ! れるっ!」
「ったく、包茎のくせにビンビンに勃起させちゃって」
「うひぃぃぃ」
納得しようとしまいと、美子先生の手は動き続ける。
俺は無様に腕を振り回した。
背後から組み付かれ、どう頑張っても逃れることが出来ない。
俺はアキオ。健康な中学二年生男子だ。
そして美子先生は今年の春にやって来た、非常勤の保健講師である。
フルネームは田野原美子。年齢は多分、二十代前半だろう。
非常勤なので、どこかのクラスを受け持っているわけではなく、たいていは保健室にいる。
昭和的な顔立ちの美人で、オッパイがとても大きい。
もちろん裸を見たわけじゃない。でも、ムチムチのナイスボディの持ち主であることは確かだと思う。
中学二年男子なら、女の子の身体に興味を持つのは当たり前。美子先生はそんな男子たちの天敵みたいな存在なのだ。
男子など間違いが起こる前に『抜いて』しまえばいい。
そう公言しているところが実にたちが悪い。
現に俺が射精させられそうになっているように、美子先生は俺たち男子にとって脅威なのである。
「うわぁぁぁっ!」
「ほらほら。射精、射精」
もう駄目だ。
ゴシゴシゴシ。
美子先生はまるで容赦がない。
先走りがピュッと飛んだ。
「出るぅぅぅぅっ!」
「ほらほらぁ」
ゴシゴシゴシ。
オチンチンをしごかれるせいで、タマがつられてリズミカルに踊る。
「うあぁぁぁぁぁっ!」
出る。出てしまう。
快感がズンと突き上げて来てタマが縮んだ。
「わぁぁぁぁ……」
美子先生がフィニッシュとばかりにしごき速度を上げる。
駄目だ。もう駄目だ。
「れるぅぅぅっ」
ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ!
直後、俺は大量の精液をぶちまけた。
「あはは、射精させられちゃったね。ご苦労さん」
「ううっ……」
「ティッシュそこにあるから、始末は自分でしなさい」
満足げに手を洗う美子先生の後ろ姿を恨めしげに眺める。
犯された女の人ってこんな気持ちなんだろうか。
オチンチンを拭いてズボンを引き上げながら、俺は無力感に打ちのめされるのだった。
「アキオ、また美子先生にやられたのかい? 二度目じゃん」
「ち、ちくしょう」
翌日の昼休み、俺は友人の佐々木安男を相手にたそがれていた。
コイツも美子先生に射精させられた経験者なので、心置きなく語り合うことが出来る。
「二回もやられたのってアキオくらいじゃないか」
「背後から関節を極められて逃げられなかったんだ。仕方ないだろ」
「あー、僕のときもそうだったよ」
「安男は何をして捕まったんだっけ?」
「階段下からスカートの中を覗いている所を見つかった」
「そうか。あのスケベ教師、やりたい放題だよなぁ」
正確なところは分からないけど、うちのクラスでも複数の男子が美子先生の毒牙にかかっているはず。
だからと言って、大っぴらに抗議するわけにもいかないのが、こちらとしても歯がゆいところだ。
覗きやスカートまくりなんかの現場を押さえられたケースも多いので、下手に動くとやぶ蛇になってしまう。自業自得の一言で終わりだろう。
それと、強制射精させられたことをクラスの女子に知られるのは格好悪すぎた。
「何? アキオくん、お仕置きされたの?」
後ろから声が聞こえたので振り返ると、同じクラスの山下秋穂だった。
俺たちの話を聞いていたようだ。
しまった。全然周りを警戒していなかった。
「な、何でもないよ」
山下秋穂とは取り立てて親しいわけではない。
俺はごまかそうとした。
「美子先生にやられたんでしょ。聞こえたもんね」
「……」
下手に取り繕うと墓穴を掘りそうだ。俺はだんまりを決め込んだ。
「ふふ~、そういうのって男子もやっぱり恥ずかしいんだ」
山下秋穂は楽しそうだった。
空気を読んで立ち去るどころか、俺の隣の椅子を引いてどっかりと座り込む。
そう言えばこの子ってエッチ娘だったな。
付き合いはなくても噂くらい耳に入ってくる。
厄介な女子に絡まれたものだ。
「安男君も美子先生にしごかれた経験者だったよね?」
俺が反応しないので、山下秋穂は安男に顔を向けた。
「し、仕方ないでしょ。あの先生、結構力が強いんだ。たぶん格闘技の心得があると思う。組み付かれると逃げられないんだよ」
「あ~、一応抵抗したんだ?」
「ま、まぁ……」
おい安男。何をあっさり認めてるんだよ。
俺は「余計なことを喋るな」と合図したけど、こっちを見ていなかった。
「あの先生、男子なんか抜いて無力化してしまえばチョロいって考えているんだよね」
安男がため息と共に呟く。
「まあ、間違いじゃないよな」
俺は肩をすくめた。
確かに射精後は一時的にではあるが、女の子に対する興味が薄れる。
「男子ってそういうものなの?」
「個人差はあるだろうけどな」
「ふうん。ちょっとうらやましいかも」
山下秋穂は何か思う所があるようだった。
「何でそんな所に反応するんだよ」
「いや、ずっとモヤモヤし続けるより、スッキリ出来た方がいい気がしただけ」
「……」
女子はなかなかスッキリ出来ないという意味か?
良く分からないけど、上手く話が逸れてくれたので良しとする。
ホッとしていると、「で、アキオ君。美子先生に捕まったんだよね?」と話を振り出しに戻されてしまった。山下秋穂も甘くないようだ。
「お、お前には関係ないだろ」
俺は頑なにそっぽを向いた。
当然認める気なんかない。
「だって興味あるじゃん」
「俺が知るかよ」
俺は早く昼休みが終わってくれないものかと時計を見た。
しかしこんな日に限って時間はたっぷりとある。
いったい山下秋穂は、どこから噂を聞いたのだろう。
こいつは俺が最初に美子先生に抜かれた時も、俺の周りをチョロチョロしていた。
直接何か訊かれることはなかったが、ヒヤヒヤしたことを覚えている。
何故バレたのか。
「いいじゃん、教えてよ」
「やだ」
『壁に目あり障子に耳あり』ということわざがある。
保健室は鍵がかかっているわけじゃないから、通りかかった誰かに現場を見られていたなんてケースも否定出来ない。
美子先生本人が誰かに話したのかも知れない。
秘密が漏れる可能性は多岐にわたるのだ。
困ったものだ。俺は頭を抱えた。
でも俺が認めなければ、あくまで噂のままでとどまる。
何としても昼休みが終わるまで、追及をかわさなければ。
「山下さんって、どうしてそんな話知ってるの? 僕が捕まった時だって、アキオ以外に話した覚えはないんだけど。あれからクラスの女子が僕を見てクスクス笑っていたから、どうしてバレたのか不思議だったんだ」
安男がタイミング良く俺の知りたいことを訊いてくれた。
「どうしてって、女の子のネットワーク力だよ」
山下秋穂が当然とばかりに言う。
「分かってないみたいね。女子一人に目撃されたらすぐに広まるってこと。そういうもの」
「うへぇ……」
と言うことは、美子先生に抜かれる現場をクラスの女子の誰かに見られたことになるではないか。
俺は絶句した。
「と、当番でも決めて保健室に張り付いてるのか?」
「まさか。正面玄関に向かう時は必ず保健室の前を通るじゃん。うちのクラスだけで女子は21人いるんだからね。誰かの目にはつくよ」
「でもどうやって。ドアは閉まってるんだぞ」
俺はうろたえた声を出した。
「ドアじゃなくて廊下に面した窓。あそこ、カーテンが短くて屈めば中が見えるんだよね」
「……」
「美子先生がああいう事してるのは公然の秘密だし、前を通る時に確認くらいするでしょ。見えたらラッキーって感じで。分かったかな?」
山下秋穂が「くくく」と笑った。
「そういうわけで隠しても無駄だよ、アキオくん。あたし、見ていた子たちから直接訊いたから」
「……」
『たち』って複数かよ!
ショックだ。
俺は口をパクパクさせることしか出来なかった。
「じゃあ、わざわざ本人に確認する必要ないじゃないか。直接訊いたんだろ」
俺は暗に事実を認めた。
ここまで証拠を突きつけられたのでは言い逃れしようがない。
「うん。本題はここからなんだよね」
山下秋穂がニヤリと笑った。
「二人とも、美子先生に仕返ししたいと思わない?」
「そりゃあ……でもなぁ」
俺は安男と顔を見合わせた。
正直、教師相手にそんな事考えもしなかった。
「山下さんも加わって三人でってこと?」
「そだよ」
「でもなんで山下さんが? 何かされたの?」
「……校門前で服装チェックしてるじゃん」
山下秋穂は少しためらってから声をひそめた。
「たまにやってるね」
「あたし、スカート短くしてるから目をつけられやすいんだ」
山下秋穂がそう言ってスカートの裾を引っ張った。
確かに他の女子よりスカートが短い。
女子高生ほどではないが、結構際どいと思う。
「それで?」
「下着が校則違反って指摘されてさ、口答えしたら脱がされたんだよ。その場で」
「……」
女子もそういう目に遭うのか。
俺は驚きを隠せなかった。
「大人しく脱いだのか?」
「まさか。抵抗するに決まってるじゃん。中二にもなって校門前でパンツ脱がされるんだよ」
山下秋穂が顔を赤くしていた。
人並みの羞恥心はあるようだ。
「美子先生に背中から組み付かれてさ、全然動けないの。そのままスカートの中に手を入れられて脱がされちゃった」
「ああ、それ美子先生の得意技だよね」
「そうだな」
俺は安男とうなずき合った。
俺もそうして逃げられないまま、オチンチンをしごかれて射精させられたのだ。
「必死でスカートの裾を押さえたつもりだけど、ジタバタしちゃうじゃん。絶対に周りにいた人たちにお股見られたはず」
「……」
「むかつく」
こいつ、仲間だ。
悔しそうな山下秋穂には悪いけど、俺は親近感を覚えた。
なるほど。美子先生の被害に遭った男子を二人見つけたので、チャンスだと思ったわけだ。
一丁乗ってみるか。
俺だって二回も無様に射精させられたわけだし資格はある。
「美子先生って、中学生なんて好きにしていいと考えていそうだよな」
「実際好きにされてるよね、僕たち」
安男も乗り気のようだ。
「山下さん、作戦は考えてるの?」
「秋穂でいいよ。えっとね、輪姦すとさすがに後が怖いから、マン毛全剃りで鬼イカせとか。現場を撮ってやれば女としては手も足も出ないはず」
「ほう……」
想像しただけでオチンチンがムズムズしてきそうだった。
「僕、女の人をイカせたことないんだけど。簡単なの?」
「簡単ではないかな。あたしに任せて。同性の怖さを思い知らせてやるから」
秋穂が自信たっぷりの様子で言い放った。
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