十九歳の女子専門学校生がいきなり見知らぬ世界に放り出され、心細かったのなんの。
ラノベでは、転生者はすごい能力を与えられたりするものらしいが、私の場合は剣が使えるわけでも魔法を使えるわけでもなし。単に料理が得意なだけの町娘だった。
それでも、とある宿屋に住み込みで働かせてもらえることになって、こうして生き延びているのだから幸運なのだろう。
本来の私はどちらかといえばスリムな体型だった。
それが今ではムチムチお姉ちゃんだ。
お尻は九十センチ以上ありそうだし、胸なんか歩くだけで揺れる。こちらも測れば九十センチを超えていると思う。
そのことに不満はないのだが、これまでと勝手が違って戸惑うことが多々ある。
特に大きなお尻。
通り抜けられそうだと思った隙間に引っかかったり、柱にぶつけたりするのだ。自分の身体のことなのに、未だに目測を誤るのは情けない限りである。
ここはセクハラなんて概念の存在しない世界だ。
宿の食堂でお客さんにお尻を撫でられるなど日常茶飯事。
両手に皿を持って身動きが出来ない時なんか、この時とばかりに乳を揉まれたりスカートの中に手を突っ込まれたりと散々だ。
皿を落とせば弁償させられるので、私は触られ放題のままキャアキャア悲鳴を上げるしかない。
もちろん悔しい。でも何度もやられて、ようやく慣れて来た気がする。
女は元来、環境適応性の高い生き物なのだ。
ちなみに現地の子たちも同じ事をされたら悲鳴を上げるが、あっけらかんとしている。
何か気の利いた冗談でも言って、客からチップをせしめることが出来れば勝ち。そんな感覚のようだ。
チップ収入は馬鹿にならない。
たくさんもらう子は給料額を越えるそうだ。
郷に入れば郷に従え。私ももっと稼げるようにならなければ。
現時点の目標は、自分の店を持つことである。
ある日のこと、私は女将さんに言いつけられて香辛料になる野草を集めに門の外に出た。
昼の間は街道近辺なら野獣や魔物に遭遇することはなく、比較的安全なのである。
『比較的』と言ったのは、女が襲われるのは野獣の類いとは限らないからだ。
町娘が不良冒険者たちに輪姦されたなんて話はしょっちゅう耳にするし、私も追いかけられて間一髪だった経験がある。
だから私は効率は悪くても、町の門からあまり離れないように気をつけていた。万一の際に叫び声が衛兵さんに届くように。
「ふぅ……こんなところでいいかな。もうじき日が暮れそうだし」
二時間ばかりかけて、袋半分程度の香草が集まったところで、私は町に戻ることにした。
「立ちっぱなしで疲れたなぁ」
少し休憩したかったが、前日雨が降ったせいで地面が湿っていた。
直座りするとスカートが濡れてしまいそうだ。
「あれ、何かある?」
何気なく周囲に目を向けた私は、木の幹にくくりつけられた樽のようなモノを発見した。
草を被せて、わざわざ目立たないように隠してある。
樽の底に近い部分には、しなびたイモが数個ぶら下がっていた。
誰が何のために置いたのか知らないけど、イス代わりに丁度よさそうである。
私はこれ幸いと腰掛けて休むことにした。
次の瞬間。
「ひゃぁぁっ!」
樽の上面の板が割れて、お尻がズポッと沈んだ。
「ぬ、抜けない……」
私は慌てた。
なんとお尻を樽の中に突っ込み、身体をくの字に曲げた体勢のまま動けなくなってしまったのだ。
「う、嘘でしょ」
大きなお尻が樽の『タガ』に引っかかって、どう頑張っても抜ける気がしない。
運の悪いことに両腕も一緒に『タガ』の内側だ。
「くぅぅぅっ」
私はしばらくの間、身体を揺すり立てて脱出を試みた。
「駄目だ、動けない。どうしよう……」
まずいことに、もがくうちに服が下に引っ張られて胸元が下がり、乳房がこぼれ出てしまいそうだった。
この世界にはブラジャーなんてものはない。だから服の下は生乳状態だ。
ついでに元世界のようなしゃれたパンティもない。庶民はみんな、下帯というふんどしの女性版みたいな代物を身につけている。
「何なのよ、コレ」
じっとしているわけにも行かず、私は何とかして脱出しようと頑張った。
「あ……」
目の前で左の乳房が、堰を切ったように胸元からボロリと溢れて揺れた。
腕が動かないから直すことも出来ない。
どうしよう、どうしよう。
こんな間抜けな姿を誰かに見られたら、最悪犯されてしまう。
でも誰かに来てもらわないことには日が暮れてしまう。
野獣に食べられてジ・エンドなんて嫌すぎる。
私は焦った。
ゆらゆら、ゆらゆら。
もがくとはみ出した乳房が、持ち主を馬鹿にしているかのように揺れた。
助けを呼ぼう。
私は苦渋の決断を下さなければならなかった。
この世界に来てふた月の私でも、夜の森がどれだけ危険か聞いている。
このままでは確実に死ぬ。
もはや見られるとか恥ずかしいとか迷っている場合ではない。
命あっての物種なのだ。
「誰かぁぁぁっ!」
私は町の門に向かって思い切り叫んだ。
「誰か来てえっ!」
あ、私ってこんな大きな声を出せるのか。
自分でも驚きの声量だった。
犯されそうになった時に思い切り声を上げたら、相手の鼓膜にダメージを与えられるかもしれない。
いや、今はそんな事はどうでもいいか。
「誰かぁぁぁっ!」
私は声を限りに叫び続けた。
「こんな所で何してるんだ、お姉ちゃん」
背後から声が聞こえたのは、叫びすぎて声が嗄れかけた頃だ。
まさか町の門と逆方向から人が現れると思っていなかった私はびっくりすると同時に、これで野獣に食べられずに済むと、ほっとした気持ちだった。
無理に首を回して振り返ると、冒険者らしき三人組である。男二人と女一人のパーティと思われた。
明らかに私よりも年下。しかも男は中々のイケメン。
私は乳房をボロンと晒した自らの姿に泣きたくなった。
下半身は『タガ』にスカートが被さって上手い具合に隠れてくれている。でも片乳丸出し……。
「何してるんだ?」
彼等は私の正面に回ってきた。
「あの……えっと……」
私は乳房を隠すことが出来ないまま彼等と対峙するしかなかった。
しとろもどろでこうなった経緯を説明する。
特に『不本意にも』乳房がこぼれてしまった点は、力説せずにいられなかった。
痴女だと思われるのは沽券に関わるからだ。
「なるほど。樽に座ったら天板が抜けてそうなったってわけか」
「いきなりでびっくりしちゃって。しかも抜け出せないし」
彼等は私の話を理解してくれたようだった。
「オッパイ大っきいね。隠したいんでしょ」
「う、うん」
女の子が気を利かせてくれた。やっぱり同性は心強い。
「ずれた服を引っ張り上げればいいだけだよね。待ってて」
彼女は私の正面にしゃがみ、『タガ』に巻き込まれた服をつかんでぐいっと引き上げた。
その際にでかい乳が邪魔だとばかりに乳首を摘ままれ、ヒョイと持ち上げられる。
「くっ……」
やり方ってものがあるでしょうに。
年下の小娘にいきなり乳首吊りにされた私は、屈辱に顔を歪めた。
でもここで文句を言って彼等の機嫌を損ねるのは得策ではない。
だから私は、涙をのんでこらえるしかなかった。
「お姉ちゃんのオッパイ、でかすぎて重いわぁ。肩凝らない?」
吊られた乳房をイケメン君たちの前でタプタプ揺らされる。
「す、少しは……」
私はもう、どんな顔をすればいいのか分からなかった。
「う~ん、服が中で引っかかってるのかな。無理に引っ張ると破れちゃいそうだよ」
見ると彼女がたぐり寄せた服の胸元部分はヨレヨレで、いかにも頼りなかった。
それでも乳首を摘まんだまま一旦は乳房を服の中に落とし込んでくれたのだが、手を離すとすぐに胸元が緩んで乳房丸出しに戻ってしまうのだった。
「悪いけど無理。タガの輪っかを外さないと駄目だよ」
彼女はそう言って肩をすくめた。
結局、片乳こぼれが両乳房丸出しに悪化しただけである。最悪だ。
「これってボア狩りの罠だよね」
「え、そうなの」
「うん、知ってる。あたしのおじいちゃん、猟師だもん」
ボアとは元世界の豚やイノシシに相当する野獣である。
そのお肉は最も一般的に食されていて、価格も手頃だ。
「近くに撒いたイモでボアをおびき寄せて、樽の中に誘い込むんだよ。ボアは胴体が太いから、引っかかって抜けなくなるってわけ。きっと樽の底にもおとりのエサが仕掛けてあると思うよ」
彼女は罠の仕組みを説明してくれた。
私はボアの罠にかかってしまったのか。
子供ならともかく、いい年をした娘がなんと情けない。
「とにかく、樽を木から外そうか。手伝って」
彼女の指示で男二人も動き始めた。
樽は太い綱で木にくくりつけられているらしく、結び目を弛めると簡単に外れるようだった。
急にガクンと身体に衝撃があって景色が回り、顔の前に地面が迫る。
「ひゃっ」
「ごめん、転がっちゃった。お姉ちゃん大丈夫」
「だ、大丈夫」
どうやら私はうつ伏せに近い体勢で横倒しになったようだ。
樽にハマった私は、樽と共に転がるしかないのだ。
「オッパイが地面に着くと冷たいでしょ。上を向こうか」
「い、いや、このままでいいからっ」
「そう? 何で?」
「どうしてもっ」
せっかく乳房が目立たないようになったのに、上向きにされてたまるか。
私は夢中で叫んだ。
でもそうしていられたのもわずかな間。
「なあ、この樽って下半分が外れるんじゃないか?」
「タガの下に留め具があるぞ」
「かかったボアを引っ張り出しやすいように考えたんだろうね。うちのおじいちゃんにも教えてあげようっと」
「外した方が、この姉ちゃんを引っ張り出しやすいな」
「そうするか。留め具を上に向けてくれよ。これじゃ手が届かない」
「オッケー」
グリンと景色が回り、今度は夕暮れ色に染まりかけた空が目に入った。
あああ……またお乳丸出し。
恥ずかしさに身をよじると、視界の下半分で乳房がゆらゆらと動いた。
乳房の大きい女は、仰向けにされると乳揺れが目立つのだ。
「いいなぁ。あたしも揺れるだけのオッパイが欲しいよ」
女の子にしっかりと乳揺れを観察されていた。
男二人も何も言わないだけで見ているに違いない。
「くぅっ……」
私は唇を噛んで顔をそむけた。
それからしばらく、彼等は樽の下半分を外そうと頑張っているようだった。
乳房と樽に遮られて私には見ることが出来ないが、何かゴソゴソ動いていることは分かった。
見知らぬ間抜けな女のために有難いことである。
「この留め具、引っ張るんじゃなくて回すんじゃないか?」
「ああ、だから外れないのか」
直後、ガコンと音がして下半身にひんやりとした空気が当たった。
無事に留め具が外れたらしい。
「あらら、こりゃ絶景だね」
「ひょぉ~」
「すげぇ」
彼等は何をはしゃいでいるのか。
私の頭の中で警鐘が鳴った。
樽の内側に巻き込まれた服は、タガの下あたりで折り返すように外側に出て拡がっている。
と言うことはスカートが捲れ上がっているのと同じ。
その状態で樽の下半分を外されて覗き込まれたら……。
「ひぃぃぃっ! 見ないでっ!」
お尻丸出しの姿を三人に見られていると理解した私は悲鳴を張り上げた。
先に言ったように、この世界の女性用下着はふんどしである。
女性用は男性用と違って布の幅が狭い。なぜならこの世界の布はゴワゴワで、幅があると太腿の内側に擦れてかぶれてしまうからだ。
尻全体を覆うことは出来ず、局部がかろうじて隠れるだけの代物。私が着用しているのはそれだった。
つまり今の私は文字通りお尻丸出し。
「お姉ちゃんってオッパイだけじゃなくて、お尻も特大だねぇ」
女の子の笑いをこらえたような声が聞こえて、お尻のお肉をむんずと掴まれた。
「ひぇぇぇぇっ!」
「ごめんねー、恥ずかしいよね。なるべく早く引っ張り出してあげるからさぁ」
「お、お尻を撫でないでっ」
女の子の同情が口先だけなのは明らかだった。
私が動けないのをいいことに、しつこくお尻を撫で回してくる。
何という屈辱だろう。
「どうすればいいかな。上半身を引っ張る役と、お尻を押す役に分かれる?」
「タガを押さえる役も必要だろ」
女の子がお尻を押す役に立候補して、男はジャンケンで勝った方が私の顔の横にやって来た。負けた方はちょっと不満げにタガをつかんでいる。
「せーので行くよ」
「オッケー」
それぞれが配置についた。
男が私の脇の下から手を回して、乳房の下あたりをガッチリとホールドする。
「せーの!」
「そいや!」
「せーの!」
「そいや!」
私は心の中で悲鳴を上げ続けた。
男の顔の前で乳房がそれは派手に揺れてくれるからだ。
身体を引っ張られる度にタプンタプンと波打つ。
乳房には筋肉がないから、コントロールすることも出来ない。
乳踊りと言うか、乳御輿と言うか……巨乳娘に転生したことを呪いたくなるような恥ずかしさだった。
それに鷲づかみにされているお尻も気になる。
あの女の子のことだから、意図的に股布をずらされても不思議はないのだ。
たぶん大丈夫とは思うけど、確認する術がないのがもどかしかった。
一刻も早くお尻が抜けて欲しい。
そう願うのだが、さっぱりタガが外れてくれる様子がなかった。
「ストップ。駄目だこりゃ」
やがてタガを押さえている男が声を上げた。
「尻周りのお肉にタガが食い込んでるんだよ。無理に引っ張ると怪我するぞ」
やはりそうか。これだけ恥ずかしい思いをして状況が変わらないのは残念だ。
ムチムチでごめんなさい。
私は申し訳ない気持ちで一杯だった。
「じゃあ、どうしたらいいわけ?」
「お姉ちゃんを引っ張り出すんじゃなくて、タガの方を外すんだよ」
「ほう。逆転の発想ってやつだな」
「俺って実は頭いいんだぜ」
彼等はタガを調べて、接合部のボルトを弛めると分解出来そうだとの結論に至った。
何だか大事になってきた。一筋縄ではいかないようだ。
「ひぃっ、オッパイ揉まないでっ」
私はどさくさに紛れて乳房に手を伸ばす男に抗議の声を上げた。
「スパナなんて誰も持ってないっしょ」
「このまま町に運び込むか?」
「このお姉ちゃん重そうだし、あたしがギルドまでひとっ走りして、スパナを借りて来るよ。その方が楽だと思う」
「揉まないでぇ」
「それがいいか」
誰もイタズラされる私を気にかけてくれない。
女の子も乳房をふにふに弄る男を止めようとしない。
この世界は総じてこんな感じだ。女は同性だからという理由で、無条件に味方についてくれることはないのである。
「あたしがいない間に犯したら駄目だからね」
「分かってるって」
「早く戻って来いよ」
犯さなくてもイタズラするのはいいのか。
「ひぃぃ」
私は男二人にグリグリ乳房を揉まれながら、女の子を見送ることになった。
「揉まないでぇっ」
「いいじゃんか。これだけでかい乳にはなかなかお目にかかれないんだからさ」
「ひぃぃ」
「お。乳首が膨らんできたぞ」
「乳汁出るんじゃないか?」
「駄目ぇっ」
いくら抗議しても男たちは動きを止めてくれなかった。
女の乳房はパン生地やうどん生地みたいに捏ねるものではない。
もっと優しく。
そもそも持ち主の許可なく揉み回すなんて間違っていると思う。
しかし助けてもらっている立場上、強く出られないのが口惜しかった。
早く女の子に戻ってきて欲しい。
でもギルドまで往復となると、急いでも十五分はかかるだろう。
もしかして私、その間ずっとイタズラされ通し?
まさか。
いや、まさかじゃない。普通に考えて、この状況でそうならないはずがないではないか。
男たちの目の前には抵抗出来ない美味しそうな女体。
それが触り放題、弄り放題。
誰も彼等を止める者はいない。
さらにこの世界では、女にちょっかいを出すのは子供の悪さ程度の認識だ。
私は目の前が暗くなった。
乳房だけで済むだろうか。
そう危惧する私の気持ちを嘲笑うかのように、男の一人が下半身側に移動するのが見えた。
もう一人は夢中で乳房を捏ねている。
「ひぃぃ」
すぐに股布をずらされた。
見えなくたってそのくらい分かる。
「駄目っ、やめてっ」
「ひょぉ~、お姉ちゃんいいマンコしてるなぁ」
「見ないでっ」
「見てみろよ、ピッタリ閉じたスジマンだぜ」
声に反応して、乳房をしつこく揉んでいた男まで「どれどれ」と私の股を覗き込む。
「見事だなぁ。土手がぽっこり盛り上がってやがる」
「まるで小娘の処女マンコみたいだ」
「ひぃぃぃっ!」
私は中学生の頃、初めて病院の診察台に上がった際に味わった恥ずかしさを思い出した。
あの時はナースに押さえられて全部診られてしまったが、今は樽にハマって何も出来ずにいる。
「あひぃぃぃ」
くの字型に曲がった身体では、どうあがいても男たちの視線から逃れられなかった。
見られ放題、品評され放題。
私は脳みそが沸騰しそうだった。
「まさか処女じゃないよな」
男に膣穴に指を突っ込まれた。
「ひぃぃぃっ!」
「おー、入る入る」
「ちゃんとやる事はやってるんだな」
「やめてぇぇぇっ!」
「そう騒ぐなって」
「犯すなとは言われたが、指を入れるなとは言われてないぜ」
勝手に穴の中を掻き混ぜられる。
「俺にも入れさせろ」
指が抜けたと思うと、すぐに別の指が挿入されて動き回った。
「あひっ! あひっ! イ、イタズラしないでぇっ!」
「いいじゃんか、減るモノじゃなし」
「お姉ちゃんも楽しめばいいんだよ」
むちゃくちゃな言い分である。
許可なく穴に指を突っ込まれて楽しめるはずがない。
「ひぃぃぃっ!」
しかし私には彼等の不埒を止める手段がなかった。
だから弄られ放題。
乳房の時と同じだ。
「太腿をヒクヒクさせてやがる」
「気持ちいいのかな」
馬鹿を言うなと叫びたかった。
助けてもらっている立場でなければ、声を限りに衛兵さんを呼ぶところだ。
「女ってここを弄られるとどうしようもないんだよな」
陰裂の内側に別の指が潜って来た。
膣穴に指を抜き差しされる状況はそのまま変わらない。
「ひぃぃぃっ!」
ヤバい、クリトリスを探られている。
ヤバい、ヤバい。
私は力の限りに太腿を固く合わせたが、まったく効果がなかった。
ニュルニュルと敏感なワレメの内側をまさぐられてしまう。
「くひぃっ!」
クリトリス器官を探り当てられるのに、さほど時間はかからなかった。
男の指先が私のクリトリス包皮の三角口にあてがわれ、もぞもぞ動く。
「や、やめっ、あああっ!」
陰裂の内側でクリトリスの皮を剥かれかけながら、私は歯を食いしばった。
言うまでもなく、クリトリスは女の急所である。
当然私も女なので例外ではない。
正直言って、クリトリスを弄られて正気を保っていられる自信がなかった。
だから必死に抵抗したのだが……いや抵抗したいのだが、抵抗しようがないのが辛かった。
「ひぃぃぃっ! ひぃぃぃっ!」
男の指先が私の生クリトリスをさすり始めるのに、数秒とかからなかった。
猛烈な快感に脳髄を直撃される。
上半身は動くので私は頭を振り、身体を揺すり立ててもがいた。
乳房が踊る。
プルンプルン。プルンプルン。
でも乳房どころではない。
何とかして逃れないとイカされてしまう。
「お。さっそくお豆がコリコリしてきたぜ」
私のクリ豆は他人より少し大きめだ。
男の指先がガッチリとクリトリスの付け根の裏側にハマって、ネチネチといやらしく動き回る。
「あぁぁぁっ! ひぃぃぃっ!」
「穴の中も熱くなってきたぞ」
クリトリスと膣穴の同時攻撃。
お願いだからやめて。
私の身体はオモチャじゃない。
「ここはどの女にもよく効くよなぁ」
「ああ、ノーラのやつだって今はそんな気分じゃないとか言っても、クリ豆をさすられるとすぐアヘるし。女ってのはそういう風に出来てるんだろ」
「ははは、違いない」
「あひっ! あひっ!」
たぶんノーラとは、さっきの女の子のことだろう。
冒険者パーティの女の子がどういう立ち位置なのか詳しいことは分からないが、彼等はそういう関係のようだ。
「濡れてきたぜ」
「このお姉ちゃん、相当な好き者とみた」
男二人が呑気に話をしながら私の膣穴とクリトリスを弄る。
私だけが必死になってイカされまいと抗っている。
不公平だ。どうして女の身体はこうなのか。
それに、私は取りたてて性欲が強いわけじゃないと思う。
女性器を他人の指で触れられるのは高校を卒業して以来だけど、別に欲求不満で悶々としていたわけでもない。
時々オナニーするくらい。だから女としてはごく普通だ。
普通じゃないのは、大きすぎる乳房とお尻だけである。
「ひぃぃぃっ! 駄目ぇっ!」
クリトリスを弄る指先は止まらない。
ヤバい。イカされそうだ。
私は焦った。
「あっ……あっ……ひぃぃ」
駄目だ。
太腿が震えてきた。
こうなるともう保たない。
ニュルニュル。ニュルニュル。
私の陥落が近いと知ってか、男の指先がここぞとばかりにクリトリスを弄り回す。
「あああっ! 駄目ぇっ!」
「ははは、お汁を垂らし始めたぜ」
下半身から聞こえる、クチュクチュと湿った音、
私の膣穴が立てる音だ。
一旦濡れてしまうと私はもう……。
「ひぃぃぃっ!」
視界に映る乳首が、哺乳瓶みたいに膨らんで脈打っている。
今にも乳汁を噴きそうだった。
「あああっ! あああっ!」
「そぅら、そぅら」
口が開く。
舌が出る。
「あああっ! イクぅぅぅぅぅっ!」
ものすごい快感の奔流に飲み込まれていく私。
「ひぃぃぃぃっ! イクぅぅぅぅぅっ!」
身体が勝手に痙攣した。
瞼の裏がチカチカする。
「イッたな」
「ああ、いい締まり具合だ」
膣穴に指を突っ込んでいる男が笑った。
ビクンビクン。
イッているのにクリトリス弄りを止めてもらえない。
「あひぃぃぃぃっ!」
シャァァァァッ!
クチュクチュ音に交じって、派手な失禁音が響いた。
私はイカされてオシッコを噴いてしまったようだ。
でもその自覚はなかった。
「スパナ借りてきたよ~」
女の子の声が聞こえた。
ああ、やっと戻ってきてくれたんだ。
私はイカされた余韻で意識が朦朧として、アヘ顔を晒したまま反応することすら出来なかった。
この子も安心とは言えないけど、これ以上イタズラされるのを防いでもらえるかもしれない。
「失禁しちゃってるじゃん! あららら」
呆れたような楽しそうな声色。
女の子は私の下半身を覗き込んで、もう一度「あららら」と声を上げた。
ああ、無理矢理イカされて失禁する姿を見られてしまうなんて。
「お姉ちゃん、大丈夫~?」
「ひっ……ひっ……」
「あはは、すごい顔しちゃって」
「ひっ……ひっ……」
「本気汁垂らしてるし」
「あひっ……」
私は間抜けな顔で荒い息をつくばかりだった。
「俺たち、犯していないからな」
男たちが得意気に言った。
「そうなんだ。よく我慢したね」
え、褒めるところなの?
私、この人たちにイタズラされてしまったのに。
やっぱりこの世界の倫理観に慣れるのにしばらくかかりそうだ。
「おう。でも、このお姉ちゃんエロくて面白かったぞ」
「クリ豆弄ったらあっという間にこの有様さ」
「あー、やっぱクリかぁ」
女の子は「見れば分かるけどさ」と、私の股をもう一度観察して笑った。
たぶん、勃起したクリトリスが、ワレメから頭を出していたのだと思う。
「乳首、ピンピンだねぇ。乳出しそうじゃん?」
突然女の子に両乳首を摘ままれてコリコリ転がされた。
「あへぇぇぇぇっ!」
電流のような快感に脳髄を直撃され、一瞬にして絶頂してしまう私。
残尿を噴きながら、ビクンビクンと身体を痙攣させる。
クリトリスもそうだが、私は乳首も弱いのだ。
「あはは、また漏らしちゃった。ごめんごめん」
女の子は明らかに面白がっていた。
しつこく乳首を摘まみ転がしながら、「ほら乳汁が出てきたよ」と得意気に男たちに見せつける。
「本当だ。エロいなぁ、このお姉ちゃん」
「よほど欲求不満だったんじゃないか」
そんな事ない。
抗議したかったけど、女の子が乳首を離してくれないので言葉にならなかった。
「さ、日が暮れる前にタガを外しちゃおうか」
それからようやく救出作業が再開された。
本当にようやくだ。
不用意に樽に腰を下ろしたばかりにこんな事になるなんて。
私は絶頂の余韻に「もっと」と疼く身体を叱りつけながら、大人しくしていた。
乳房も女性器も丸見えなのは分かっていたが今更である。
もうあまり恥ずかしいという気持ちも湧かなかった。
これでも野獣に食べられずに済んだことに感謝すべきなのだ。
イタズラされるのと野獣に食べられるのとどちらか選べと言われたら、私は迷わず前者を選ぶ。
こんな所で死んでたまるもんか。
私は心の中で開き直るのだった。
数分経って、ようやく私は憎むべきタガから解放された。スパナのおかげだ。
しかし、ずっと身体をくの字に曲げていたせいで、腰が固まって伸ばせない。だから立ち上がることが出来ない。
「て、手間をかけてごめん」
「いいってことよ。どうせ俺たちも町に戻るところだ」
私は男の一人に背負われて、帰還することになった。
女としては住んでいる場所を知られたくないのは山々だが、町の入口に放り出されても困るので、宿屋まで送ってもらった。
色々と思うところはあるけど、彼等に助けられたのは事実。
私はちゃんと頭を下げてお礼を言った。
ボアの罠にハマって帰りが遅れたと正直に女将さんに話すと、「子供じゃあるまいし」と呆れられた。
もちろんイタズラされたことは口が裂けても話す気はないが。
私は女将さんに頼んで厨房を借り、彼等に食事を振る舞った。お代は給料天引きである。
それ以来、彼等は食事が気に入ったらしく、たまに現れるようになった。
数年後、私は独立して自分の店を持つことになる。
ギルドを代表するパーティに成長した彼等が、冒険者仲間を引き連れてやって来て繁盛に一役買ってくれるのだが、それはまた別の話である。
完