あの時以来ずっとそう。
わたしは女の人が襲われているところを見てしまったのだ。
スナックに寄った帰り道、見知らぬ同年代の女性に店の名前を尋ねられ、うろ覚えのままビルの名前と場所を教えてしまった。
一度エレベーターで下まで降りたところで、自分が教えたのは『危ない』と噂の店だったと気付いた。急いで戻ってみたのだが……女の人はもういなかった。
わたしが言った場所に向かったに違いない。
決して悪気はなかった。むしろ親切のつもりだった。
わたしはそのまま駅に向かった。
でもやはり落ち着かない。
時計を見ると、あれから30分ほど経っていた。
もしかしたらあの女の人は私のせいで……。
このままでは寝覚めが悪すぎる。
結局わたしはどうしても気になって、その『危ない店』に様子を見に戻ることにした。
もちろん中に入るつもりなんかない。
女の人がいなかったらそのまま帰るだけだ。
雑居ビルの地下に降りて薄暗い廊下を突き当たりまで進んだ時、大音量のカラオケに交じって女の人の切羽詰った悲鳴が聞こえてきた。
間に合わなかったか。
いつでも逃げ出せるように腰を引きながらドアを少しだけ開けて中を窺ってみた。
女の人が襲われている。3人、いや4人掛かりだ。
男たちに交じって、髪を赤く染めた店の子が腕を押さえつけて協力しているのも見えた。ここはそういう店なのだ。知っている人は寄り付かないから、観光客の女性なんかが餌食になる。
別人では? わたしはそう願った。でも捲れ上がったスカートの柄は、確かにあの女の人のものだった。ムッチリと太い脚がジタバタ宙を蹴り上げている。
はだけられた乳房が天井を向いて並んでいた。大きさはCカップくらいで、乳首が太くて乳暈も大きかった。
サイズはそれなりだけど、抵抗する動きに合わせてちゃんと揺れている。背中のホックが外れたブラジャーが、お腹の方に垂れ下がっていた。
女の人が襲われているのは、カウンター前のテーブルの上だ。だから女の人の有様は、スポットライトに照らされたかのように良く見えた。
「やっぱり間に合わなかった……」
口の中でごめんなさいとつぶやく。
もがく太腿に絡み付いた下着。ちらりと黒い恥毛も見えた。ストッキングは穿いていない。
股の間には男の頭。無理やり女性器を舐められている最中なのだ。こんもりとした下の唇に、男の鼻先と口が『食べられて』しまっているみたい。
店の子が乳首に手を伸ばして摘まみながら、何か言って笑っていた。
「ヒィーッ!」
小陰唇を吸い出された女の人が、顔をゆがめて悲鳴を上げた。
男の鼻先に押し上げられるようにして、立派なクリトリスが陰裂から頭を出している。
「止めてぇぇぇっ!」
すごい悲鳴顔だった。
さっき店を尋ねられた時の、女の人の表情やしぐさが浮かぶ。あの女の人が目の前でこんなことになっている。とても不思議な感じがした。
どうしよう、わたしのせいであの女の人は犯されてしまう。
分かっている。どうすることも出来ない。助けに入ったところで、自分も一緒にまとめて襲われてしまうだけ。連中を喜ばせて終わり。
こうして覗き見しているだけでも危険なのだ。
だから見殺しにして逃げるしかなかった。
わたしのせいで、あの女の人は輪姦されようとしているというのに。
後悔の念とともに浮かぶもう一つの感情。心の中で悪いわたしが好奇心をもたげていた。
何だかAVみたいですごい。
「……」
わたしは家に戻ってからあることに気が付いた。
あの女の人は、『わたしに嵌められた』と思うのではないだろうか。
もし逆の立場だったら、絶対にそう考えると思う。
しかもその現場を覗かれていたなんて知った日には ―― 仕返しせずにはおかない。
「参ったな……」
バッタリ出会わないように気をつけなくては。
―― でもすごかった。
どうせなら最後まで見届けてやれば良かったかも。
その夜、わたしはオナニーをした。
それ以来、わたしは夢を見る。
それはいつも襲われる夢、犯される夢。
もう一人のわたしが、襲われるわたしの姿を見ている。
自分が襲われる姿を見るのは、これで何回目だろう。
「イヤァァァーッ! ヒィィィッ!」
地下道を浮浪者たちに担がれて運ばれていく。
捲れ上がったスカート。なま白い女の脚がバタバタともがいている。悲鳴がコンクリートの壁に反射して、わんわん響く。
「いやだわ、すごい顔で悲鳴あげちゃって」
もう一人のわたしが捕まったわたしに近づく。
襲われたわたしは必死でもがいていた。
服の上から乳房を撫で回され、下着の中に浮浪者の手が入っている。
見ているわたしの身体にも、女性器を弄られる感触が強烈に伝わって来た。
陰裂の内側を、男の指が勝手に往復するおぞまじさと言ったらない。
「イヤァァァッ!」
見ているわたしも悲鳴を張り上げた。触らないでっ!
ブラウスを乱暴に引っ張られてボタンが飛んだ。毟られるようにしてブラジャーもずらされる。乳房がゆさっとこぼれ出て揺れた。
「ひょぉっ」と歓声が上がり、あっという間に手が伸びてくる。
わたしは揉まれてひしゃげる乳房を見て唇をかんだ。
汚い手で揉まないで欲しい。
何人かの通行人とすれ違う。みんな当たり前の風景のように、襲われたわたしの姿を一瞥して立ち止まりもせずに歩いていく。なんて冷たいんだろう。
陰裂をまさぐられるわたしは脚を自転車をこぐみたいに躍らせ、絶叫していた。
担ぎ上げられたままで身体を弄くり回され、パニックに陥って手足を振り回すばかりだ。
「ヒィィィッ!」
膣穴に指を入れられた。すすけた顔の男の目がぎらついている。怖い。
ああ、輪姦されてしまう。このままでは犯されてしまう。逃げなくては、逃げなくては。わたしは焦った。
地下道を抜けると今度は満員電車の中。
ドア際に押し付けられたわたしのスカートの中に手が何本も入り込んでいる。こんなところで悲鳴を上げたら大恥だ。お願いだから我慢して欲しい。
密集した男たちの背中の隙間から、パンストごと下着を膝まで下ろされてしまったわたしの姿が見えた。お気に入りのワンピースだ。
わたしは身体をよじって指から逃れようとしているけど、男たちの手は忙しく動き続ける。
何をされているのかしら、指を入れられているのかしら。近づきたくても押しくら饅頭状態で身動きできない。
見ているわたしは障害物を通り抜けられることもあるし、出来ないこともある。
わたしは自分の表情から、なにをされているのか読み取ろうとした。
痴漢されるわたしは唇をかみしめ、時折手の平で動いている電車の窓を叩く。
我慢できそうなのかしら、ひどいことされてしまっているのかしら。どうしても確認したいと思った。
犬のように四つん這いになり、苦労して人垣をかき分けて進む。そして見上げるとわたしの下半身が見えた。自分で自分のスカートの中を覗いた体勢だ。
わたしの陰裂の内側に指が潜り込み、忙しく往復していた。
男の指が第一関節まで沈み、大陰唇に咥えられたまましつこく陰裂をなぞり続ける。太腿がぴくぴくと震えていた。ハイヒールのかかとが床を叩く。
わたしは何度も腰を振って、指先から逃れようとしていた。無理よ、それじゃ振り払えないわ。男の手をつかんで引き剥がさなくちゃ駄目。
ボロン、と乳房が出ているのが見えた。ブラジャーのホックを外されてしまっている。誰かが乳首を摘まんで転がした。男の手の先には学生服の袖口が見えていた。
あんた、痴漢されてどうして乳首立ててるのよ。しかも穴が濡れかけているし。わたしは自分に腹が立った。
周囲の乗客たちは、私が痴漢されていることに気付いていたのは間違いない。でも男も女もチラチラ見ているだけで、誰も助けてくれなかった。女子高生の二人組なんか、堂々とスマホを向けて撮っている始末だ。
やがて駅に着いた。どやどやと人が降りて電車の中は空っぽになった。
わたしはぺたんと尻餅をついてへたり込んでいる。
ここに痴漢された女がいるぞ、という声が遠ざかっていった。
「おい、大丈夫か」
駅員が来てくれた。わたしは荒い息をついたまま言葉を出すことが出来ずにいた。
乱れた着衣を直して立ち上がると、今度は何故かヤンキーたちに囲まれていた。まだ中学生くらいの男の子3人と女の子ふたりだ。
「こいつ痴漢されたんじゃない?」と女の子。
「関係ないでしょ、あっち行って」
わたしは叫んだ。ガキどもにこいつ呼ばわりされる筋合いはない。
「どこをイタズラされたのか調べてあげよっか?」
「きっとマンコ濡らしてるよ」
「冗談はよしてっ……あああっ!」
座席に横倒しにされて襲い掛かられる。
「ヒィィィッ!」
よってたかって裸に剥かれてしまうわたし。あっという間に乳房が飛び出して揺れる。可哀想なわたし。女の子に手を押さえられてバンザイさせられている。
もう一人の女の子が「にたぁ」と笑いながらわたしの乳房を揉み回していた。
憎たらしくなって突き飛ばそうとしたけど、見ているわたしは触れることもできない。
パン生地みたいに捏ねられるわたしの乳房。女の子はわたしが悔しがる表情を観察して笑っている。
「離しなさいっ!」
見ているわたしは叫んだが、わたしの声は彼らには届かない。
そしてズルズルと下着を引きずり下ろされてしまった。
露出した恥部が生々しい。恥毛は生えているけど、正面から陰裂の切れ込みがくっきりと目立つ。
ちょっと、そんなに脚をばたつかせたら見られてしまうわ。わたしは思わず周りを見回してしまった。
剥き出しの女性器に陽が当たっている。襲われているわたしはパニックに陥って自分の有様なんか気づいてもいない。
股を広げ、ワレメの中身まで見えちゃってひどい格好だった。乳房を捏ねられてもがくのに夢中で、完全に下半身がお留守なのだ。
脚を押さえている女の子が「くすくす」笑いながら、わたしの女性器を品定めするようにじっと見ている。
こんな子供に見られてしまうなんて、悔しい。
どんどん裸に剥かれていくわたし。なんて惨めな姿なのだろう。
ブラジャーが片腕に引っかかって、旗みたいにひらひらしている。下着とパンストの残骸が膝のあたりに絡み付いていた。
見ているわたしは、わたしの女性器を覗き込んで笑っている女の子たちを突き飛ばそうとした。でも触れることが出来ずに素通りしてしまう。
「ヒィィィッ! イヤァァァッ!」
股裂きにされてスマホを向けられた。わたしは自分の状態に気付いて慌てている。今頃になって下着を降ろされたことに気付くなんて、お間抜けにもほどがあるというものだ。
わたしの身体に何本も手が伸びてくる。何度もフラッシュが光った。
膣穴に指を入れられるところ、陰裂を拡げられるところ、クリトリス包皮をめくられるところ、乳首を摘まれて悔しがるところ。全て撮られてしまった。
憎たらしいことに、女の子たちはどうすればわたしが悔しがるかよく分かっていた。
男は乱暴に弄くって喜ぶだけだけど、女の子はネチネチと仕掛けてくる。指先の嫌らしさは男の比ではない。
ああ、何もかもが曝け出し。恥ずかしい。恥ずかしい。
頑張って。もっと抵抗して。わたしはわたしを応援する。もっと悲鳴を上げるのよ。もしかしたら誰か気付いて助けてくれるかもしれない。
少年の指がわたしの陰裂に潜り込み、なぞっている。下から上に向かって何度も、何度も。
彼が何か言うと、皆が笑った。勝手に弄くらないで。
ああ、またそんなに脚を広げて。もがいているだけじゃ、その指を振り払えないわ。
口をパクパクさせて悲鳴が言葉になっていないわたし。わたしが惨めに襲われているというのに、わたし自身は見ていることしか出来ない。
少年の一人がズボンを下ろした。仮性包茎だが、見事に天を仰いで反り返っていた。
それを目にしたわたしは激しく抵抗したが、女の子たちに股をこじ開けられてしまう。
「止めてぇぇぇっ!」
女の子の一人に、膣口にゼリーのようなものを塗りたくられた。いよいよ焦ったわたしの悲鳴のトーンが高くなる。
入れちゃえ、入れちゃえと囃し立てる女の子たち。わたしはわたしが犯される瞬間を見てしまった。
「イャァァァッ!」
もがいてももがいても押さえられて犯される。女の子たちが悲鳴をあげるわたしの顔を覗き込んで笑っている。入ってる、入ってるとはしゃぐ声。本当に腹立たしい。
男が激しく腰を動かすので、乳房が踊っていた。ゆさゆさ、ゆさゆさ。その乳房が鷲づかみにされてひしゃげる。
「ヒィィィィッ! アァァァァァッ!」
一歩下がって見ると、輪姦されるわたしの身体は少年たちにたかられて埋もれていた。足首が二つ、左右に離れてにょっきりと突き出している。
けたたましい悲鳴がまるで機関銃だ。
押さえつけられ、蹂躙され、それでも必死にもがくわたし。
次の順番らしい少年が、前を押さえてそわそわしていた。まだかよ、まだかよと急かす。
わたしに入っている少年が「たまんねぇ」と声を上げながら中に出すと、女の子たちが口笛を吹いてはやし立てた。
こんなガキに中出しされてしまうとは。わたしは唇を噛んだ。
「あ~あ、こいつ漏らしちゃったよ」
女の子の声に目を向けると、わたしの陰裂の真ん中からシャーッと音を立ててオシッコが噴き出していた。オチンチンが抜けた拍子に緩んでしまったようだ。
思い切り陰裂を拡げられて晒される。
失禁中の尿道口も、ヒクヒク動くクリトリスも全部丸見え。
膣穴からは中出しの証拠がトロリと溢れていた。
わたしは顔が赤くなった。カイボウされる中学生じゃあるまいし、情けない。
自分を助けられないもどかしさに焦れる。もう、見てられない。なんてみっともない犯され方しているのよ、もう!
イライラしていると、隣の車両で動いている人影が目に入った。あちらでも何か揉めているみたいだ。
わたしは何事かと思って見に行った。
連結部のドアを開けたとたん「ヒィィィッ」と頭がキーンとするような女の悲鳴。男たちの人だかりの中に、もがいている女の人の姿が垣間見えた。
「ここでも輪姦なの!?」
床には脱がされた女の服や、下着が散乱している。
一体誰だろう。まさかわたしの筈はない。だってわたしはお隣で犯されている真っ最中なのだから。
男たちの股をくぐって、わたしは襲われている女の人を確認しようとした。
「うっ」
いきなり目の前に剥き出しの女性器が現れる。それも思い切り拡げられた状態で。綺麗な色をしていたけど、突然目の前に突きつけられれば引いてしまう。
マンコ全開って言うのだろうか。クリトリスも小陰唇も、穴の中まで丸見えだった。隣で襲われているわたしも真っ青だ。
押さえつけられている女の人に見覚えはなかった。わたしと同い年くらいだ。あの女の人に似ている気もしたけどたぶん別人。
その人は半狂乱で悲鳴を上げていて見るも哀れな有様だった。口を「ひぃ」の形に開き、目は焦点が合っていない。
「この電車って、一体どうなってるの」
わたしはやられているのが自分ではないから、幾分冷静に見ていることが出来た。
「この人も『分身』なのかしら」
彼女の本体がその辺にいないか探してみる。でも、それらしき人影は見当たらなかった。
女の人の膣穴に潜った二本指。別の男たちが陰裂の中身をてんでにまさぐっている。
女の人は手を熊手みたいな形にしてもがいているけど、がっちり押さえられてしまって逃げ出せそうもなかった。
ペロンとはだけられた乳房は揺れるほどない。こんな時でも「勝った」とか考えてしまうのは女の性だろう。
「あなたも大変ね、頑張って」
わたしは女の人に声をかけた。
「嫌ぁぁぁっ」
女の人の悲鳴が一瞬途切れたときに、隣の車両からわたしの悲鳴が聞こえてきた。
「いけない、わたし輪姦されているんだったわ!」
急いでもどると、わたしは二人目の少年に犯されていた。相変わらず悲鳴を張り上げてもがいているけど、体勢はさっきと同じ。大股開きの万歳ポーズで犯され、乳房を躍らせている。
お漏らしで出来た水たまりがさっきより拡がっていた。
「はぁ……」
わたしは情けなくなってため息をついた。
女の子二人が犯されているわたしの結合部分に注目して喜んでいる。しかも、一人は手を伸ばしてわたしのクリトリスを弄くっていた。
わたしは女の子の手をはたこうとしたけど、触れることは出来なかった。
女の子はわたしの反応を窺いながら、指先で円を描くようにネチネチ弄り続ける。
襲われているわたしは口から泡を噴かんばかりの形相でわめき散らしていた。太腿を痙攣させてもがいちゃって、悲惨な状態。
ああ、もう駄目だ。女としての面目は百パーセント吹き飛んでしまっている。最悪の状態だ。
わたしは絶望的な気持ちで輪姦されるわたしの横に立ちすくむしかなかった。
二人目が終わり、三人目。さすがに悲鳴が途切れがちになる。それでもわたしは抵抗を止めない。なんて健気なのだろう。
そして最後の四人目の男。あれ、男の子は三人じゃなかったっけ。
中だしされまくったわたしの膣穴はもうドロドロだ。
そこに容赦なく四人目の男の精液が注ぎ込まれる。
わたしの女性器は充血して花開き、小陰唇が緩慢に蠢いていた。ど真ん中にピコンと頭を出したクリトリスが目立つ。恥毛が糊付けされたみたいに皮膚にへばりついていた。
ああ、とうとう逃げられなかった。誰も助けてくれなかった。
電車の中で若い娘が犯されているというのに、どうして誰も来てくれないのか。それともこの世界じゃこんなことは日常茶飯事なのか。
突然けたたましく発車ベルが響いた。
わたしに群がっていた少年たちがビクンと一斉に立ち上がり、恐怖の表情を浮かべた。わたしが見えるのか、女の子の一人が脚にしがみついて来る。
それからゴオッともの凄い風が吹いて、少年たちを巻き上げた。
憎たらしい女の子二人もスカートが捲れ上がった茶巾状態で吹っ飛んで行く。
ざまぁみろ。わたしは思わず拳を握りしめた。
少年たちは巻き上げられたまま切れ切れの影のようになり、やがて見えなくなった。
消える間際にそのうちの一人が「また輪姦しに来るからな」と叫ぶのが聞こえて怖かった。
座席の上で大の字のわたしは着衣が乱れ、とても他人に見せられない有様。
目を半開きにして、荒い息を吐いている。
開いた脚の間には失禁の跡が拡がっていた。
きっと意識が半分ないのだろう。
嬲られて膨らんでいたクリトリスが、ゆっくりと皮の中に埋もれていく。
乳首はピーンと立ったままだ。
よく最後まで諦めずに頑張ったわね。わたしはわたしを褒めてあげたかった。
そのわたしの身体も、徐々に透けていく。
隣の車両で犯されていた女の人が、淡々と身繕いして立ち去るのが見えた。
あんなに悲鳴を張り上げて抵抗していたのに、何事もなかったかのよう。
輪姦されることも含めて日常の一部。そんな態度だった。
わたしも見習うべきなのだろうか。考えたけど答えは出なかった。
またベルが鳴る。
朝が来たのだ。
わたしが重たい瞼を開けると、もう一人のわたしは見えなくなった。
完